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治療方法

イオン導入

化粧品をいくらお肌に塗っても、薬ではないので、肌の内側にまで届くというのは、ほとんどありません。皮膚には、バリア機能というものがあり、外からの色々な異物が侵入してこないように、体を守る働きがあります。そんなに簡単に皮膚を通して体の中に入ってくると、大変困ることになるわけです。肌の表面に塗るだけでは、奥まで入らなかったものでも、イオン導入といって、体が感じないぐらいの微弱な電流を流しながら塗っていきますと、バリア機能である角質層を通り越して、皮膚の中に入ってくることができます。シミを作っている根っこの細胞や肌を作っている細胞に直接働きかけてくれるため、定期的に継続していきますと、効果が実感されやすいです。光・レーザーほどの効果はもちろん出ませんが、痛みも全くない安価な治療ですので、継続しやすい治療だと思います。最近は、エステや家庭用のものも売り出されており、かなりいい機器も出てきました(導入方法を間違えなければ)。機器自体の医療用との大きな違いは、パワーをどこまで上げていけるか、出力の違いぐらいかと思います。イオン導入に元々、それほど強い出力が必要なわけではありませんから、機器の違いによる効果の差は、それほどないかもしれません。決定的に違うのは、医療の場合、医師にだけ使用が許可されている薬剤が使えることです。イオン導入で大事なポイントは、どれぐらいマメに導入できるかというのも大切ですが、何を導入するかが一番重要なポイントだと思います。即効性はほとんどありません(化粧ノリぐらいなら、良くなると思います)が、ずっと継続して導入されていると、やはりお肌は徐々に調子良く、いい感じに変わってきます。特に、光やレーザー治療後導入を行うと、角質が弾け飛んでいるので、より入りやすくなっており、お勧めです。当院で扱っているのは、(1)トラネキサム酸(2)グリシルグリシン(3)プラセンタ、の3種類です。
副作用合併症:火傷(赤み、水ぶくれ、痛みなど)・刺激感・皮膚炎など。通常は痛みや違和感を伴う処置では全くありません。痛み、ムズムズ感、違和感などありましたら必ず我慢せずにお伝えください。

(1)トラネキサム酸

トラネキサム酸は、資生堂特許成分のクリニック限定使用のものを使っています。同じものは、エステやご家庭ではできません。トラネキサム酸のイオン導入液を、クリニックで独自に調合して、イオン導入しているクリニックもありますが、研究結果により、大変不安定で、入りにくい(導入があまりされていない)ことがわかりました。その不安定さ・入りにくさを改良・確認されたのが、この資生堂のNAVISIONのTA導入液です。大変お勧めです。肝斑の方だけでなく、トラネキサム酸には、元々炎症を抑える働きがあるため、肌荒れ・ニキビ・日焼け後の炎症(赤み)などにも有効です。保湿成分もたっぷりと入っているため、乾燥肌の方にもお勧めです。

(2)グリシルグリシン

グリシルグリシンは、資生堂が独自に開発した医療機関専用の導入剤で、開いた毛穴を気にしている方に最適です。Tゾーンなどの脂っぽいところを重点的に導入していきます。皮脂の中に、コラーゲンをすり減らす成分が入っており、脂っぽい肌の方が、毛穴がすり鉢状に目立ってしまうのは、それが原因です。グリシルグリシンがその成分を抑えることで、毛穴を引き締めていくことができます。同シリーズのホームケア商品も発売されていますので、普段のお手入れとして使われるのもいいと思いますが、これを使ったイオン導入はクリニック限定となり、やはり導入することによって、ホームケアではできない濃度を入れることが可能です。両方併用されると、さらに効果的でお勧めです。

(3)プラセンタ

プラセンタは胎盤エキスとも言いますが、いろいろな栄養の元であるアミノ酸から大半ができています。その中には、色々な細胞を増やしていく因子がたくさん入っています(ホルモン剤ではなく、刺激して増えるのを促してくれる物質です)。
年とともに、私達の大切な細胞は、新しく作ることを止めてしまったり、どんどん減っていったりと細胞の数は年々減っていきます。数が減るとその細胞が今までしていた仕事量もトータルで減ってしまうため、お肌だけでなく体にも色々なトラブルが出てきたり、若い時のようにうまく対応できなかったりします。
プラセンタを摂取することで、再び増えているかどうかのデータがありませんが、疲労回復・美肌作用・若返り・健康を目的に昔から医薬品として使われてきました。最近では美肌目的に化粧品の中にも入っているのが発売されていますが、原材料はブタがほとんどです(他には馬や魚などです)。
当クリニックでは、イオン導入に厚生労働省承認薬剤の注射用のヒトプラセンタ(ラエンネックR)を使用しています。プラセンタに含まれるアミノ酸の種類は、動物によって全然違います。魚は哺乳類でもありませんし、ブタにしても哺乳類であってもヒトと皮膚が全く違います。見た目も全く違うわけですから、プラセンタの中身も違って当たり前です。同じプラセンタを使うなら、体の構造の違う魚やブタではなく、ヒトのほうがよりいいと思います。
ヒトプラセンタの中に、シミを作るのを抑えてくれる因子・コラーゲンを増やすのを刺激する因子・お肌の免疫バランスをとってくれる因子など、美肌にとっていいものがたくさん入っています。また、プラセンタの中のアミノ酸には、保湿因子などを新しく作る時の原材料にもなるので、お勧めです。
診たことはありませんが、注射用製剤を皮膚に塗ることによっての過敏症や接触皮膚炎などの副作用合併症が出ることがあるかもしれません。